クリフトン PRO は、2026年7月10日に出た、クリフトンの上位にあたる新しい枝です。22,000円、メンズ28cmで296g、ドロップ8mm。板は入りません。発表文が名指しする相手は「走行距離を重ねるタフなトレーニングに励むランナー」。毎日の靴を、もう少し前へ進む側に寄せたい人の1足です。
シューズオタクの本命
PRO の14gは、欠点ではなく使い道の書かれた重さ。発表文の底の欄には、クリフトン 11 に無い「Durabrasion ラバー」と「Podular」の2行がある。
増えた重さの行き先が、長くもたせる側のゴムだと読める。毎日履いて距離を積む靴なら、軽さより底が残ることのほうが効く。だから私は、14g重いほうを毎日用に選ぶ。
この記事の要点
- クリフトン 11 と同じ42/34mm・8mm。重さは5.0%増、値段は11.1%増
- PROGLIDE+ は、SCF フォームと強い反りのメタロッカーの組み合わせ。この靴が初搭載
- ワイドは7色のうち3色。エキストラワイドの記載は無く、扱う店も一部だけ
公式の数字|296g・42/34mm・ドロップ8mm・22,000円
「PRO」と付く靴は、軽くなるものだと思いがちです。クリフトン PRO は逆で、元のクリフトン 11 より重い。この記事は、その重さがどこへ行ったのかを、発表文の行から追います。
HOKA の日本法人(Deckers Japan)が2026年7月10日に出した発表文の数字です。
| 項目 | クリフトン PRO |
|---|---|
| 発売日 | 2026年7月10日(色により8月・9月) |
| 値段(税込) | 22,000円 |
| 重さ(メンズ) | 296g(28cm) |
| 重さ(ウィメンズ) | 242g(24.5cm) |
| 底の厚さ | かかと42mm/前34mm |
| ドロップ | 8mm |
| サイズ | メンズ 25.0〜29.0cm・30cm/ウィメンズ 22.0〜26.5cm |
| 足幅 | レギュラー・ワイド(男女とも3色) |
| 板 | なし(技術欄に板の行が無い) |
| フォーム | ProGlide ミッドソール(SCF フォーム) |
| 色 | メンズ7色・ウィメンズ7色 |
色は一度に出ていません。7月に5色、8月に1色、9月に1色。男女とも同じ出し方で、10月のいまは7色が出そろった計算です(5 + 1 + 1)。
売る場所は「HOKA 公式サイト、HOKA 直営店、一部取り扱い店舗」。クリフトン 11 より店がしぼられています。
HOKA クリフトン PRO
楽天市場で見る前の世代から変わった所|前の世代は無い。土台のクリフトン 11 と比べる
クリフトン PRO に、前の世代はありません。発表文は「CLIFTON シリーズをベースに」進化させた、シリーズの「新たな章」と書いています。そこで、9日前に出た土台のクリフトン 11 を前の世代のかわりに置きます。
| クリフトン 11 | クリフトン PRO | 差 | |
|---|---|---|---|
| 重さ(メンズ28cm) | 282g | 296g | +14g(+5.0%) |
| 重さ(ウィメンズ24.5cm) | 236g | 242g | +6g(+2.5%) |
| 値段 | 19,800円 | 22,000円 | +2,200円(+11.1%) |
| 1gあたり | 約70円 | 約74円 | +4円 |
| 厚さ・ドロップ | 同じ(42/34mm・8mm) | — | |
| フォーム | 成型 EVA | SCF フォーム | 別の素材 |
| 底の反り | スムーズ MetaRocker | アップデート版ロッカー | 別の形 |
| 底のゴム | 耐久耐摩耗性ラバー | Durabrasion ラバー・Podular | 別の名前と配置 |
重さは5.0%増、値段は11.1%増。値段のほうが2倍あまりの割合で上がっています(11.1 ÷ 5.0 = 2.2)。材料を足したぶんだけ高くなったのなら、2つの割合は近くなるはずです。
差額の大半は、量ではなく素材の種類に払っていると分かります。
PROGLIDE+ は、フォームと反りをセットで替える仕組み
発表文によると、PRO に初めて載った PROGLIDE+ は、2つの部品の組み合わせです。反発性のある SCF フォームと、「アグレッシブ・メタロッカー」。
メタロッカーは、底を船の底のように反らせて、足の指の付け根で折るかわりに転がす作りです。クリフトン 11 の欄は「スムーズ」、PRO は「アグレッシブ」。
同じ厚さ・同じドロップのまま、反りを強くして、転がりはじめを早めています。
反りを強くすると、柔らかいフォームでは底がつぶれて形が逃げます。そこで跳ね返す力のあるフォームと組ませる。フォームだけ、反りだけを替えても成り立たないので、2つをまとめて1つの名前にしている、と読めます。
メーカーの説明では「着地時の衝撃を吸収しながら前方への推進を促し」、安定したピッチを支える仕組みです。
14gの行き先は、底のゴム
底の欄を見ます。クリフトン 11 は「耐久耐摩耗性ラバーアウトソール」の1行。PRO は「Durabrasion ラバーアウトソール」と「Podular アウトソールデザイン」の2行です。
Durabrasion は、2023年のクリフトン 9 の発表文にも出てくる HOKA のゴムの名前です。Podular は、ゴムを小さな区画に分けて置く配置。
発表文は PRO について「耐久性に優れた構造と上質な素材を採用」と書いていて、増えた14gは長くもたせる側に使われたと読めます。
兄弟モデルとの違い|マッハ 7・マッハ X 3・クリフトン 11
HOKA で「速い日の靴」を探すと、PRO のほかにマッハの2足が候補に上がります。
表は横に動かせます →
| モデル | 重さ | ドロップ | 値段 | こういう人はこちら |
|---|---|---|---|---|
| クリフトン PRO | 296g | 8mm | 22,000円 | クリフトンの高さのまま距離を積む |
| クリフトン 11 | 282g | 8mm | 19,800円 | 最初の1足。エキストラワイドが要る |
| マッハ 7 | 237g | 5mm | 17,600円 | 速い日の靴を軽さで選ぶ |
| マッハ X 3 | 288g | 5mm | 25,300円 | 板入りを練習から使いたい |
マッハ 7 との差は59g(296 − 237)。フルマラソンの距離に直すと、1歩を1mとして片足は約21,098回なので、59g × 21,098回 = 約1,245kg。
片足につき1トンを超える差です。軽さだけで比べれば、PRO に勝ち目はありません。
かわりに PRO が持っているのは、ドロップ8mmと、かかと42mmの厚さです。マッハの2足は5mm。クリフトンを履いてきた足にとって、3mmの差は別の靴の感覚です(8 − 5)。PRO は、その感覚を変えずに底の中身だけ替えられます。
マッハ X 3 とは8gしか違いません(296 − 288)。値段は PRO が3,300円安い(25,300 − 22,000)。板の有無と、ドロップの5mmと8mmで選び分けます。
- クリフトンを履いてきた。同じ高さで、毎日の靴を前へ進む側に寄せたい → クリフトン PRO
- 初めての HOKA。走る速さをまだ決めていない → クリフトン 11
- 軽い靴で速い日を作りたい。値段も抑えたい → マッハ 7
- 「PRO だから軽いはず」と思って買う → PRO にしないほうがいい
HOKA マッハ
楽天市場で見るほめる所
厚さとドロップを、クリフトン 11 とぴったり同じにしたこと。これがいちばん巧い所です。上位版を作るとき、たいていのメーカーは厚さも反りも板も変えて、別の靴にします。
PRO は、かかとの高さの感覚を1mmも変えず、フォームと反りとゴムだけを替えました。
だから、履き替えの壁が低い。クリフトンに慣れた足が、同じ数字の並びの靴に乗り換えられます。サイズの展開もクリフトン 11 と同じで、メンズ 25.0〜29.0cm と 30cm、ウィメンズ 22.0〜26.5cm。11 で合っていたサイズを、そのまま基準にできます。
2,200円の差で、フォーム・反り・底のゴムの3つが入れ替わる。部品1つあたり約733円です(2,200 ÷ 3)。今年の HOKA の新作の中で、上乗せのお金に対して変わる所がいちばん多い靴です。
小さいサイズでは、重さの差も縮みます。ウィメンズ24.5cmの差は6gで、メンズ28cmの14gの半分以下。値段の差は男女とも同じ2,200円なので、足の小さい人ほど、PRO を選ぶ代わりに背負う重さが少なくなります。
気をつける所
296gは、軽い靴ではありません。HOKA の現行のロード用で、板の入らない靴としては重い側です。ボンダイ 9 の297gと1gしか違いません。
ワイドがあるのは、メンズ7色のうち3色、ウィメンズも7色のうち3色。割合で43%です(3 ÷ 7)。クリフトン 11 はメンズ10色の全部にワイドがあるので、幅で選ぶ人には棚がせまくなります。エキストラワイドは、発表文に記載がありません。
扱う店は「一部」。近くの店で足を入れられるかどうかは、買う前に公式の取扱店の一覧で見ておきます。
もう1つ。新しい枝なので、比べる前の世代がありません。型落ちを安く買う、という手が使えない靴です。
向く人・向かない人
- 向く人:クリフトンを履いてきて、同じ高さのまま違う底を試したい
- 向く人:毎日の靴で距離を積む。軽さより、底のゴムが残ることを取る
- 向く人:板入りの靴は要らないが、柔らかいだけの靴では物足りない
- 向かない人:軽さがいちばん大事。マッハ 7 のほうが59g軽い
- 向かない人:エキストラワイドが要る。ワイドで色を選びたい
- 買わなくていい人:クリフトン 11 を今年買ったばかりの人。厚さもドロップも同じなので、いまの靴の底が減ってから乗り換えれば間に合います
値段と買い方
| モデル | 公式の値段 | 楽天の値段の幅 |
|---|---|---|
| クリフトン PRO | 22,000円 | 19,800〜22,000円 |
| クリフトン 11 | 19,800円 | 17,325〜22,000円 |
| マッハ 7 | 17,600円 | 13,900〜17,600円 |
買うときは、商品名に「PRO」か「プロ」が入っているかを見ます。クリフトン 11 と色の名前が重なる物があり(BLACK 系など)、写真だけでは見分けにくい。
ワイドが要る人は、「WIDE」の表記と色の名前を、発表文の3色と突き合わせます。
メンズのワイドは COSMIC GREY / BLACK、BLACK / COSMIC GREY、VARSITY NAVY / SOFT COBALT。
ウィメンズは COSMIC GREY / NEON YUZU、BLACK / COSMIC GREY、FADED NAVY / GLIMMERING BLUE です。
HOKA クリフトン PRO
楽天市場で見るHOKA クリフトン
楽天市場で見るよくある質問
サイズ感は? クリフトン 11 と同じサイズでいいですか
発表文のサイズの展開は、クリフトン 11 とまったく同じです(メンズ 25.0〜29.0cm・30cm、ウィメンズ 22.0〜26.5cm)。
底の厚さとドロップも同じ。違うのは足幅で、PRO はレギュラーとワイドの2つ、ワイドは男女とも3色だけです。11 のエキストラワイドを履いている人は、PRO に同じ幅がありません。
カーボンの板は入っていますか
発表文の技術欄に、板の行はありません。ミッドソールの欄は「ProGlide ミッドソール」と「アップデート版ロッカージオメトリ」の2行だけです。
前へ進む動きは、板ではなくフォームの反発と底の反りで作る靴です。HOKA で板の入る毎日用は、HOKA 12足の記事に書いたマッハ X 3 とスカイワード X 2 です。
クリフトン 11 と、どちらを先に買えばいいですか
初めての HOKA なら 11 です。基準になる靴を知ってから PRO に乗ると、フォームと反りの違いが分かります。すでにクリフトンを履いてきた人は、PRO から入って構いません。
厚さもドロップも同じなので、慣れた高さのまま替えられます。今年の3足を並べた比較は、HOKA の2026年新作の記事にあります。