ゲルカヤノ 33 は、アシックスが1993年から続けている安定の靴の、いちばん上のモデルです。重さ298g、底の厚さ約40mm、公式の値段は22,000円。公式がすすめる相手は、これから走り始める人と、フルマラソンの完走をめざす人。2026年の世代交代では、数字より先に中身の部品が入れ替わりました。
シューズオタクの本命
カヤノ 33 は、軽さではなく「後半」を買う靴として選ぶ。新しい仕組みの FLUIDSUPPORT は、かかとの接地からつま先の蹴り出しまでを続けて支える作りで、公式は疲労時を名指ししている。
298gの重さは、その部品と、2層の底と、かかとの PureGEL の合計だと読めば納得がいく。
この記事の要点
- カヤノ 32 と値段は同じ22,000円。重さと厚さの前作比は、公式のリリースに書かれていない
- 同じ安定の GT-2000 15 より46g重く、2mm厚く、5,500円高い
- 発売時の品番は4つで、32 の6つから減った。男性用の色は9から6へ
「新しくなったのに、軽くなったと書いていない」靴
2026年のアシックスの新作は、何g軽くなったかを競うように書いています。ニンバス 28 は約20g、GT-2000 15 も約20g。ところがゲルカヤノ 33 のリリースには、重さの前作比が1行もありません。
手を抜いた世代交代かというと、逆です。替わったのは数字ではなく、靴の役目そのものを作る部品でした。ぶれを抑える仕組みの名前が替わり、底の素材が1種類から2層になっています。それでいて、値段はカヤノ 32 と同じです。
この記事は、カヤノ 33 の1足だけを公式の発表で読みます。安定の靴どうしの選び方はアシックスのおすすめ11足の記事にも置きましたが、ここでは 33 の中身を深く見ます。
公式の数字
| 項目 | ゲルカヤノ 33 |
|---|---|
| 発売日 | 2026年6月11日(公式オンライン先行)/6月18日(直営店・全国の店) |
| 公式の値段 | 22,000円(税込) |
| 重さ | 298g |
| 底の厚さ | 約40mm |
| ドロップ | 8mm |
| 足幅(男性用) | スタンダード/エキストラワイド(発売時の品番) |
| 足幅(女性用) | スタンダード/ワイド |
| 板 | なし(リリースに板の記載なし) |
| 底の素材 | 上の層 FF BLAST MAX/下の層 FF BLAST PLUS+かかとに PureGEL |
ドロップは、かかとと前足部の厚さの差です。8mmは、同じ安定の GT-2000 15 とも、クッションのニンバス 28 とも同じ数字です。
アシックス ゲルカヤノ 33
楽天市場で見る前の世代から変わった所
カヤノ 32 のリリース(2025年6月)と、33 のリリースを横に並べました。
| 項目 | カヤノ 32 | カヤノ 33 |
|---|---|---|
| ぶれを抑える仕組み | 4D GUIDANCE SYSTEM | FLUIDSUPPORT |
| 底のフォーム | 全面 FF BLAST PLUS(1種類) | 上 FF BLAST MAX/下 FF BLAST PLUS(2層) |
| 公式の値段 | 22,000円 | 22,000円 |
| 発売時の品番 | 6つ | 4つ |
| 男性用の色 | 9 | 6 |
| 女性用の色 | 6 | 5 |
| 重さ・厚さの前作比 | 前部を約2mm厚く(31 比) | 記載なし |
計算を3つ置きます。
- 値段の差:22,000 − 22,000 = 0円
- 発売時の品番:6 − 4 = 2つ減。32 にあった男性用のワイドと女性用のナローが、33 のリリースの表にはありません。
- 男性用の色:9 − 6 = 3つ減。割合にすると約33%です(3 ÷ 9)。
中身を2か所入れ替えて、値段は0円の差。そのかわり、発売時の幅と色の選択肢は絞られています。
仕組み:部品を足す支え方から、流れで支える作りへ
カヤノ 32 の 4D GUIDANCE SYSTEM は、公式の説明では4つの要素の組み合わせでした。かかとの傾斜、立体的な形の底、土踏まずのやわらかいフォームの部品、広げた接地面。走っている間の過度な倒れこみを抑える、という説明です。
カヤノ 33 の FLUIDSUPPORT は、書き方が変わっています。かかとの接地からつま先の蹴り出しまで、足の動き全体を「連続的に」支える。
底の内側にはやわらかい素材を使い、フォームが崩れやすい疲労時にも軽い走り心地を保つ、と公式は書いています。
靴底のゴムにも、この考え方が出ています。内側のゴムを曲線の形に置き、つま先側には楕円の形の意匠。公式は、これで底のしなりを制御し、なめらかな走行を助けると説明しています。
底のフォームは、上がやわらかくて反発のある FF BLAST MAX、下がそれより硬い FF BLAST PLUS。足に近い側で当たりをやわらげ、地面に近い側で形を保つ重ね方です。
だから何が起きるか。硬い部品で倒れこみを止めるのではなく、着いてから離れるまでの道すじを靴の形で作る方向へ、カヤノが動きました。だから私は、33 を 32 の改良版ではなく、別の設計の靴として読みます。
兄弟モデルとの違い
迷う相手は、同じ安定の役割の GT-2000 15 と、同じ値段のニンバス 28 です。
| カヤノ 33 | GT-2000 15 | ニンバス 28 | |
|---|---|---|---|
| 重さ | 298g | 252g | 281g |
| 底の厚さ | 約40mm | 約38mm | 約43.5mm |
| 公式の値段 | 22,000円 | 16,500円 | 22,000円 |
| ぶれを抑える仕組み | FLUIDSUPPORT | 3D GUIDANCE SYSTEM | 記載なし |
| 底のフォーム | 2層 | FF BLAST MAX | FF BLAST PLUS |
| かかとの PureGEL | あり | 記載なし | あり |
GT-2000 15 との差:カヤノ 33 は46g重く(298 − 252)、2mm厚く(40 − 38)、5,500円高い(22,000 − 16,500)。値段は1.33倍です(22,000 ÷ 16,500)。
46gをフルマラソンの歩数に直します。歩幅1mなら片足は約21,098回、地面を離れるので、46 × 21,098 = 約970kgぶん。この重さと引き換えに付くのが、FLUIDSUPPORT と、2層の底と、PureGEL です。
公式の「クッション」の目盛りも、カヤノ 33 が Maximum、GT-2000 15 が High で1段違います。
すすめ先の書き方も違います。カヤノ 33 のリリースは「フルマラソン完走をめざす方」。GT-2000 15 のリリースは、走り始める人と、日常的に走る人です。
- フルマラソンの後半、疲れてからの支えを買いたい人 → カヤノ 33。
- 10kmやハーフまでの人、軽さを取りたい人 → GT-2000 15。カヤノ 33 にしないほうがいい。46gと5,500円のぶんを使う場面が来ません。
- 足の倒れこみが気にならない人 → 同じ値段で17g軽く(298 − 281)、3.5mm厚いニンバス 28。中身はゲルニンバス 28 のレビューに書きました。
アシックス GT-2000 15
楽天市場で見るほめる所
値段を動かさずに、役目の中心を入れ替えた。安定の靴にとって、ぶれを抑える仕組みは心臓です。そこと底のフォームを両方替えて、希望小売価格は 32 と同じ。
同じ年に、ニンバス 28 は1,100円、スーパーブラスト 3 は2,200円上がっています。
どの時間帯のための靴かを、公式が言い切っている。「フォームが崩れやすい疲労時」。長く走る人がいちばん困る場面を、説明文の中で名指ししています。誰のための靴かがはっきりしている道具は、選びやすい。
すり減りへの備えがある。靴底は2種類のゴムを使う HYBRID ASICSGRIP。かかとには、従来のゴムの約3倍すり減りにくいと公式が書く AHARPLUS が入ります。
サイズと幅の受け皿が大きい。男性用は32.0cmまで。エキストラワイドが発売時からあり、色も2色です。
気をつける所
- 重い。298gは、アシックスの現行のロード用で重さを読めた靴の中で、いちばん大きい数字です。軽くなったとは、公式はどこにも書いていません。
- 32 と同じ靴の続きではない。仕組みも底も替わりました。32 が足に合っていた人ほど、33 を同じ物と考えないほうが安全です。
- 発売時の選択肢が減った。品番は6つから4つ、男性用の色は9から6です。
- 前作との差が数字で書かれていない。どれだけ安定したか、どれだけやわらかくなったかを、公式の数字で確かめることはできません。
向く人・向かない人
向く人:フルマラソンの完走が目標で、後半にフォームが乱れる自覚がある人。安定の靴の中で、底のやわらかさも取りたい人。エキストラワイドが要る男性。
向かない人:軽さで選びたい人。同じ役割で46g軽い GT-2000 15 があります。板の入った靴や、速く走る日の靴を探している人にも合いません。
買わなくていい人:カヤノ 32 が足に合っていて、まだ底が残っている人。足の倒れこみが気にならない人。この靴の値段のうち、支える仕組みのぶんを使わないことになります。
値段と買い方
| モデル | 公式の値段 | 楽天の値段の幅 |
|---|---|---|
| ゲルカヤノ 33 | 22,000円 | 15,600〜43,300円 |
| ゲルカヤノ 32(前の世代) | 22,000円(発売時) | 14,900〜22,000円 |
| GT-2000 15 | 16,500円 | 11,550〜19,800円 |
公式の値段が同じなので、32 が安く残っていれば、差はそのまま「新しい仕組みに払う額」になります。4D GUIDANCE SYSTEM で足りていた人は 32、疲れてからの支えを新しい作りで試したい人は 33。
楽天では商品名の「33」「32」を見て、世代を取り違えないようにします。
アシックス ゲルカヤノ 33
楽天市場で見るアシックス ゲルカヤノ 32(前の世代)
楽天市場で見るよくある質問
サイズ感と足幅は、どう選べばいいですか
公式のリリースでは、男性用が24.5〜29.0cm(0.5cm刻み)と30.0・31.0・32.0cm、女性用が22.5〜26.5cm(0.5cm刻み)です。
足幅は、発売時の品番で男性用がスタンダードとエキストラワイド、女性用がスタンダードとワイド。上側は、部位で編み方と孔の大きさを変えたエンジニアードメッシュです。
カヤノ 32 から買い替える理由はありますか
軽さが目当てなら、ありません。重さの前作比を、公式は書いていないからです。理由になるのは、連続して支える FLUIDSUPPORT と、上がやわらかく下が硬い2層の底。この2つを使いたいかどうかで決まります。
GT-2000 15 を持っています。カヤノ 33 も要りますか
全員には要りません。GT-2000 15 にも、ぶれを抑える 3D GUIDANCE SYSTEM が入っています。フルマラソンの本番だけ、1段上のクッションと PureGEL に替えたい人が足す靴です。
目標の時間ごとの組み合わせは、ペース別のシューズの記事に並べました。