Cloudboom Max は、On が2025年8月21日に出したフルマラソン用のレースシューズです。日本公式の特長の欄に「フルマラソンでサブ4.5を目指す方に」と書かれています。数字は296g・ドロップ8mm・28,600円。On のレース用3足の中で、サポートの欄が「安定感」なのはこの靴だけです。
シューズオタクの本命
4時間〜4時間半でフルを走る人が On のレース用を買うなら、軽い Strike 2 ではなく Max。板はカーボンではなく、グラスファイバーを8%混ぜた樹脂。
On は、かかとから着地する人を支え、4時間半までの長さを楽に走らせるための板だと書いている。105gの重さは、その作りの代金として納得できる。
この記事の要点
- 底の厚さは、かかと40mm・前足部32mm。On の発表に数字がある
- 1kmのペースにすると、4時間が5分41秒、4時間半が6分23秒。On が書く対象はこの幅
- 日本の値段をドルの値段で割ると、Max は1ドル約124円、Strike 2 は約141円
目標タイムが、商品ページに書いてある靴
レース用の靴の商品ページは、たいてい「速く走りたい人へ」としか書きません。誰のどのタイムに向けた靴かは、買う側が重さや板の素材から読み取ることになります。
Cloudboom Max は、そこを On が自分で書いています。日本公式の特長の欄に「フルマラソンでサブ4.5を目指す方に」。On の発表は、もう少し幅を持たせて「4時間〜4時間半でのゴールを目指す、まじめに走りこむマラソンランナー」と書いています。
この記事は、この1足を公式の数字だけで読みます。目標タイムごとにレース用と練習用を並べた表は、マラソンの目標タイム別の靴の記事にあります。
公式の数字
| 項目 | 公式の数字 | 読んだ場所 |
|---|---|---|
| 発売日 | 2025年8月21日 | On の発表 |
| 値段 | 28,600円(税込) | 日本公式 |
| ドルの値段 | 230ドル | On の発表 |
| 重さ | メンズ296g/ウィメンズ250g(片方) | 日本公式・On の発表 |
| 底の厚さ | かかと40mm/前足部32mm | On の発表 |
| ドロップ | 8mm | 日本公式・On の発表 |
| 足幅 | 1種類(表示は「レギュラー」) | 日本公式 |
| サイズ(メンズ) | 25.0〜31.5cm(14サイズ) | 日本公式 |
| 色(メンズ) | 1色(White | Black) | 日本公式 |
| 板 | あり(グラスファイバー配合の Speedboard) | 日本公式 |
底の厚さは、日本公式の商品ページには載っていません。On の発売時の発表に、かかと40mm・前足部32mm・ドロップ8mmと書かれていました。
引き算も合います(40 − 32 = 8)。当サイトのほかの記事で「未確認」としていた数字は、ここで埋まります。
フォームは Helion HF の2層。日本公式は「超軽量ハイパーフォーム」と説明しています。On の発表では、上と下の層の形を、エリートではないランナーの走り方に合わせて調整した、とあります。
サポートの欄は「安定感」。On の説明では、安定性と快適性のつり合いがよく、走ることに自信を持ちたい人向けの区分です。日本公式の紹介文は「初マラソンも、タイムを狙うときも」と書いています。
On クラウドブーム マックス
楽天市場で見る前の世代から変わった所
Cloudboom Max は、2025年に生まれた新しい名前で、前の世代がありません。On の発表も「Cloudboom の家族に加わる」と書いています。
そこで、比べる相手を1つ置きます。On のマラソン用レース靴の出発点だった、2024年の初代 Cloudboom Strike です。エリート向けの靴から、何を足して何を引くと、4時間半の人向けの靴になるのか。On の発表資料どうしで並べました。
| 項目 | 初代 Strike(2024年) | Max(2025年) | 差 |
|---|---|---|---|
| 重さ | 210g | 296g | +86g |
| かかとの厚さ | 39.5mm | 40mm | +0.5mm |
| 前足部の厚さ | 35.5mm | 32mm | −3.5mm |
| ドロップ | 4mm | 8mm | +4mm |
| ドルの値段 | 280ドル | 230ドル | −50ドル |
面白いのは、かかとの厚さがほとんど同じことです。差は0.5mm(40 − 39.5)。変わったのは前足部で、3.5mm薄くなりました(35.5 − 32)。
その結果、ドロップが4mmから8mmへ、2倍になっています(8 ÷ 4)。
つまり Max は、エリート向けの靴を「薄く安くした版」ではありません。かかとの高さは保ったまま、前を下げて、かかとから前へ傾けた靴です。On が板の説明で「かかとから着地する人を支える」と書いているのと、形が合っています。
重さは86g増(296 − 210)で、約41%(86 ÷ 210)。値段は50ドル減(280 − 230)で、約18%(50 ÷ 280)。
重くして、安くして、傾きを足した。これが、On が4時間半の人に向けて行った作り替えです。
兄弟モデルとの違い
ひものある Cloudboom は、現行で3足です。日本公式の数字で並べます。
表は横に動かせます →
| モデル | 重さ | ドロップ | 板の素材 | サポート |
|---|---|---|---|---|
| Cloudboom Max | 296g | 8mm | グラスファイバー配合 | 安定感 |
| Cloudboom Volt | 210g | 5mm | カーボンファイバー配合 | ニュートラル |
| Cloudboom Strike 2 | 191g | 5mm | カーボンファイバー配合 | ニュートラル |
板の素材が違う
3足の中で、板がカーボンでないのは Max だけです。On の発表は、中身まで書いています。ポリアミド(ナイロンの仲間の樹脂)に、グラスファイバーを8%混ぜた板。
目的は、かかとから着地する人を支え、4時間半ほどまでのマラソンの長さで快適さを保つこと。
ここが、読者に知ってほしい仕組みです。板の役目は、On の説明では、前足部でしなって力をため、蹴り出しで放すこと。どれだけ硬い板が合うかは、走る速さと着地のしかたで変わります。
On は、4時間半の人向けに、板の素材そのものを替えました。カーボンを抜いたのは値下げのためではなく、対象のランナーに合わせた結果だと、発表から読めます。
重さの差を、フルの距離に直す
Strike 2 との差は105g(296 − 191)、Volt との差は86g(296 − 210)です。1歩を1mと置くと、フルマラソンは42,195歩で、片足は約21,100回。
Volt との差は、86g × 21,100回 = 約1,815kgぶんになります。
小さい数字ではありません。それでも On は、この重さの靴に「サブ4.5」と書きました。4時間半は、1kmを6分23秒で走るペースです(270分 ÷ 42.195km)。
4時間なら5分41秒(240分 ÷ 42.195km)。この速さで4時間以上を走る人には、軽さより、傾きと安定と厚さを優先する。そういう判断が、数字に出ています。
- フルの目標が4時間〜4時間半。かかとから着地する → Cloudboom Max
- 本番は10km〜ハーフ。速い練習にも使う → Cloudboom Volt
- フルで4時間を大きく切るタイムを狙う → Cloudboom Strike 2(Strike 2 の記事)
On クラウドブーム ボルト
楽天市場で見るほめる所
1つ目は、対象のランナーを数字で書いたこと。「サブ4.5」と商品ページに書けば、それより速い人は買わなくなります。On は、それを承知で書きました。
4時間〜4時間半の人に向けてレース用を1足作り、名指しした。ここを私はいちばん買います。
2つ目は、かかと40mmという厚さです。On は別の靴の発表で、レースで使える上限を40mmと書いています。Max は、その上限いっぱいまでフォームを積んだ靴です。
エリート向けだった初代 Strike の39.5mmより、0.5mm厚い。
3つ目は、フォームが上のモデルと同じ名前であること。Helion HF は、On がレース用に使う反発の強いフォームです。Max は、それを2層で使っています。板の素材は替えても、フォームの格は落としていません。
4つ目は、足まわりの作りが長い時間に向いていること。日本公式の特長の欄には「長距離ランを快適にするアンクルパッド」「足の動きに合わせてしなやかにフィットするアッパー」が並びます。
On の発表も、アッパーは長い時間のうちに足になじむ作りだと書いています。
5つ目は、日本での値段の付き方です。日本の値段をドルの値段で割ると、Max は1ドルあたり約124円(28,600 ÷ 230)。Strike 2 は約141円(35,200 ÷ 250)です。
同じ On のレース用でも、Max のほうが日本では割安な換算になっています。
気をつける所
いちばん大きいのは、296gという重さです。On のロード用の中でも重い側で、安定用の Cloudrunner 3(311g)と15gしか違いません(311 − 296)。「レース用だから軽い」と思って買う靴ではありません。
2つ目は、色の少なさ。2026年10月13日の日本公式のメンズは、1色だけでした。Strike 2 は4色あります。
3つ目は、足幅が1種類であること。サポートの欄は「安定感」ですが、幅の広い版は出ていません。
4つ目は、用途の書き方に幅があること。日本公式の説明文は「マラソン練習に最適な一足」、特長の欄は「サブ4.5を目指す方に」、On の発表は「レースの日の性能」。
練習用なのか本番用なのか、公式の言葉が1つに決まっていません。私は、発表が Cloudboom を「レースの日の靴の家族」と呼んでいるので、本番用として読みました。
5つ目は、練習用の靴より高いこと。板のない毎日用で本番も走る、という選び方は、4時間半のペースなら十分に成り立ちます。この靴でなければ届かない、という数字は公式にもありません。
向く人・向かない人
- フルマラソンの目標が4時間〜4時間半
- かかとから着地する。ドロップ8mm前後の靴に慣れている
- 本番用に、厚さと安定のある1足を分けて持ちたい
- 軽さでレース用を選びたい。105g軽い Strike 2 の役割です
- 本番がハーフまで。Volt で足ります
- ドロップ5〜6mmの靴に慣れている
- いまの練習用で本番も走るつもり。買い足さなくても役割は足りています
値段と買い方
| 靴 | 公式の値段 | 1gあたり | 楽天の値段の幅 |
|---|---|---|---|
| Cloudboom Max | 28,600円 | 約97円 | 19,999〜28,600円 |
| Cloudboom Volt | 26,400円 | 約126円 | 26,400〜50,800円 |
| Cloudboom Strike 2 | 35,200円 | 約184円 | — |
1gあたりで見ると、Max は3足の中でいちばん低くなります。On のレース用は、削った重さに値段が付いています。Max の値段は、軽さではなく、厚さと板と安定の作りに払うお金です。
日本公式の商品ページには、買ってから30日以内で使っていなければ返品でき、送料はかからない、と書かれています。色は1色ですが、サイズに迷う人は公式で買うとやり直しがききます。
楽天の販売店では、公式に無い色や型番が並んでいることがあります。商品名が「Cloudboom Max」で、Volt や Strike でないことを見てから選びます。
On クラウドブーム マックス
楽天市場で見るよくある質問
サイズ感は、ふだんの靴と同じでいいですか
日本公式の「サイズとフィット感」の欄は、「レギュラー。表記通りのサイズ。」です。On の発表も「サイズどおりの合い方」と書いています。メンズは25.0〜31.5cmの0.5cmきざみ。
発表資料のサイズは、メンズ US 7〜14、ウィメンズ US 5〜11。足幅は1種類です。
サブ4やサブ5の人が買ってもいいですか
On の発表が書く対象は「4時間〜4時間半」で、4時間ちょうどはこの幅に入っています。5時間の人については、公式は何も書いていません。安定感の表示、ドロップ8mm、かかと40mmという作りは、走る時間が長い人にもそのまま当てはまります。
4時間を大きく切りたい人は、105g軽い Strike 2 のほうが公式の書き分けに合います。
かかと40mmは、大会の決まりに引っかかりませんか
On は別の靴の発表で、レースで使える上限を40mmと書いています。Max のかかとは、発表の数字でちょうど40mmです。On は Max を「レースの日の性能」を持つ靴として発表しています。
公認の記録が関わる大会に出る人は、要項の競技規則の欄で扱いが決まります。